今回の取材は、驚きの連続。
皆さんは、知っていましたか?さぁ、最後まで読んでいただき、是非感想を聞かせてください。
伺ったのは、稲沢市祖父江町の「歩荷(ぼっか)」さん。
我が家の近くなので、ここの卵は何回か食べたこともあり、その美味しさについては、よーく知っていましたが、果たして他の卵と何が違うのか?早速調査開始です。
まず、靴を消毒し、鶏舎に案内していただきます。
臭くない!
ん?こんなに鶏がいるのに、鶏糞の匂いがしないのです。鶏舎の近くに行くと必ず感じるあの匂いがない・・。
その秘密を安田王彦さんに教えてもらいます。
「この地面を見てください。もみ殻なんです。鶏糞の匂いは、糞と土と水分が原因です。だから、まず水分を出来る限りカットする。そのために、中が空洞のもみ殻は最適。」(写真では解りにくくてごめんなさい)
20年前、建築業をしていたという安田さん夫妻。
もともと食べることが大好きで、食品の安全性に関心を持つようになります。
その頃、雑誌の記事や本では「食べてはいけない」の第一次ブーム。その記事等から啓発されて、自ら安全な食品を!と思い立ち起業することになったと言います。
鶏の健康な育て方をはじめ、一から勉強です。そして土地探し。しかし、近所に鶏舎が建つことに賛成する人はなかなかいません。
そこで、出来る限り近所に迷惑をかけないこと・・その一つが匂い対策だったのです。
もみ殻を敷き詰めた鶏舎からは、あの嫌な臭いがほとんどしません。しかも、鶏は快適そうだし、鶏糞の処理も簡単になるのです。
さて鶏舎から、庭に出る散歩の時間。
庭に生えているのは雑草です。みんなその雑草をついばんでいますが・・・「これ、おやつです(笑)」と王彦さん。鶏は雑食なので、何でも食べます。そして庭の砂を掘って砂遊びも。
良く運動するから、卵の成分のコレステロール値が低いという効果も。
良く見ると、数百羽づつ網で仕切られています。
「この中に、1羽最高権力者(鳥)がいて、さらに階層分けが出来ています。それぞれの枠の中に1羽づつ。これが混ざると喧嘩になるので、分けて飼育します。」
この中に雄はいないのですか?
「雄が入ると、早朝に大きな声でコケコッコー・・と鳴きます。雄の鳴き声は大きく、近所の方に迷惑になるのです」
ここにも、匂い対策同様、近隣との関係を大事にする姿勢が表れています。
(ちなみに、有精卵と、雄のいない鶏舎の無精卵と、栄養価の優位性は認められていません)
では鶏の主食についても教えてもらいましょう。
ここでは、安全性が最優先されています。
まず、主食の米。そして糠(ぬか)。農家と契約して無農薬の米を多く使います。その無農薬の米を作ってもらう農家に、匂いのほとんどしない鶏糞を肥料として利用してもらうことで、好循環を生んでいます。
トウモロコシや大豆は遺伝組み換えでないという「IP」の表示が。
さらにアルファルファ。ヨーロッパでは一般的に飼料として使われているのですが、フランスは遺伝子組み換えを禁止しているので、高価ではあるけどフランス産にこだわって使用されています。
徹底して安全性を優先して生産される卵。
さて、どのように産んでいるのか気になります。
ここでも、知らないことが・・。
鶏は、暗くて狭いところで卵を産む習性があるそうです。
そこで、テレビ等でよく見るケージに似た箱、これネストと言うそうですが、このネストの中に、勝手に入っていって、自分のタイミングで卵を産みます。すると、傾斜がついているので、外側の通路の卵受けの中にコロコロっと出てくる仕組み。
ついでに言えば、勝手に水を飲み、勝手にえさを食べる。
そして、鶏も鳥なので、止まり木に・・ここは勝手に、ではなく、権力階層の強い者(鳥)から順に天井に近い場所を確保して寝るのだそうです。
こんなにも自由に自然に飼われているので、鳥にはストレスもほとんどなく、従って病気にもかかりにくいので、薬を投与することもありません。だから、とても安全・安心な卵だとも言えるのです。
さあ、その卵ですが、ここでは洗浄しません。洗浄しないから洗剤や消毒薬の成分が卵に浸透することはありません。
洗浄しないから、卵の殻を保護する膜(クチクラ層)が残っているので、サルモネラ菌とかの進入を防いでくれるのです。その結果、冷暗所に保存すれば「1か月も食べられる」卵となるのです。
さああなたは、信じる?
もちろん、信じる!でしょ!
ここの代表である安田博美さんは
「建築の仕事から養鶏の仕事に転職・起業する時には、周囲の人からも行政や農業関係者からも、無謀なことだから止めろと警告されました(笑)。しかし、九州に勉強に出掛けたりして、本当に安心安全な卵が出来る確信を得た頃には、理解してくれる人も少しつづ増え、15年前に開業すると、ほとんど宣伝もしていないのに、安全で美味しい卵を求めて遠くからも来て頂き、今では、(人気で全国から注文が来る為に)日常的に品薄状態が続いています。」
「品薄ではありますが、ここに来て、顔の見える関係の中でお売りすることが喜びなので、是非お店に来て、自慢の卵を確かめて頂きたいと思います」
生き物を扱う仕事の宿命で、一年中休むこともできず、たった2人で作業されているので「風邪引くことすらままならない生活」だと、笑顔で話されます。簡単に「努力」などと言えない凄みすら感じます。
安全・安心を追求し美味しいものを作り、環境への配慮も怠らないその精神。
「歩荷」は稲沢の誇り。いや宝だと言ってもいいと率直に思いました。
心から信頼できるお2人の作る卵。
これを読んだ人!是非食べて欲しい!子どもに食べさせて欲しい!
ちなみに直売所限定の小サイズ10個ワンパック500円。
通常サイズが10個ワンパック620円。
スーパーの倍以上の値段です。
でも、私は・・「安い!」と感じました。
「歩荷」
店舗:稲沢市祖父江町山崎上屋敷375-3
電話:0587-97-7677(FAX兼用)
営業:AM10:00~PM5:00 (但し、土曜は午前のみ営業)
通販等の対応はホームページでご確認ください。
http://www.bocca-farm.jp/
冨田 和音
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