皆さんは、最近「魚屋さん」に行ったことありますか?
「スーパーの中の鮮魚コーナーくらいかなぁ・・」そんな声が聞こえてきそう。
ネットで検索しても、稲沢市内に路面店の魚屋さんは数軒しかありません。
スーパーの発砲スチロール製のトレーに乗った魚しか買ったことが無い人の方が多いのでは?
そんな中、いまだに昔ながらの魚屋にこだわっている魚屋さんを発見!
場所は、一色下方町にある「JA愛知西 産直広場」の一角にあるテントの中。
ここの主はまだ36歳の福田啓将さん。(独身!)
まず彼の経歴に驚かされます。
生まれは東京・渋谷の代官山!そして小学校からは横浜で育つ!都会の中のザ・都会人!
さらに驚かされるのはその経歴。美大を卒業した後、IT関係の仕事をし、あるきっかけで、知多半島の漁業関係の企業に転職。そこで、マーケティングや営業の仕事を5年ほどした後、一旦横浜の実家に。しかし、昨年、知多での仕事で知り合ったJAの方から声が掛かり、昨年の10月21日、魚屋さん「魚福」を開業したのです。
これだけでもドラマになりそう・・。
さらに驚かされるのは、魚屋さんの経験ゼロ。バイトすらしたことない!
なのに、魚をさばく手つきは、完全にプロ!見事です。
一体この男、どんな才能の持ち主なのか・・・。
さあ、かなり興味深くなってきましたが、肝心の「魚」は?
筆者は、料理を5年ほど習ったので、まあまあ魚も見分けられるのですが、ちょっと拝見しただけで、並んでいる魚の良さはすぐ分かります。
どうやって仕入れているんだろうか?
JAだから特別なルートがあるのだろうか?
しかし、その鮮度の為の福田さんの努力は、誰も真似の出来ない壮絶なものなのです。
朝2時(っていうか深夜?)起床。支度を整え、祖父江町から車で名古屋の中央卸売市場に。そこで4時頃まで仲買で、届いたばかりの魚を仕入れます。しかし、これだけじゃない。
次に向かうのは、知多の半田の魚市場。ここで、近くの港に上がったばかりの魚を仕入れると共に、各地から集まった仲間と、仕入れた魚を上手くシェア・交換して、種類を増やします。さらに、豊浜まで足を延ばすこともしばしば。そうして、どの魚屋さんよりも鮮度の良いものを7時半頃まで集めるのです。そこから稲沢に戻ってきます。時には開店時間ギリギリに。
9時、開店時には、店の前には人が列をなしていることも。
このお店の最も忙しい時間帯は開店から1~2時間。
その日のランチに使う食材を買う飲食店の方もちらほら。
こんな鮮度のいいの、他は真似できませんからね。
一段落つくと、ようやく値札を付けたり、一般のお客さんからの注文で、三枚に下ろしたり、刺身用に短冊にしてくれたり、調理法を教えてくれたり。手さばきも素晴らしいけど、営業トークも本音ベースで気持ちいい。いつもあっという間に、閉店の5時になるといいます。
しかし、テントでの営業なので、そこから清掃やら冷蔵庫を片づけたりして、全部終わるのが早くて8時。遅い時は10時になることも!なのに2時には起きて、また仕入れ・・。
福田さんにとっては、働き方改革という言葉は別次元の出来事に違いない。
なぜそこまで頑張るのか!最後に聞いてみました。
福田さん
「稲沢の人に、こんなこと言うと失礼だけど、安くて、さほど美味しくない魚しか知らない人が多いので、本当に美味しい魚の味を知って欲しんです。そして、その味を知った人が増えてきたら、稲沢の人皆んなに食べてもらえるよう店舗を増やしていきたいのです。その為に、今は自分の時間は無くても、1日20時間でも働くのです。」
筆者からヒトコト
真鯛を買って帰りました(長さ50センチほどの大物=1,600円/あくまでもその日の時価です)。半身は短冊に、半身は皮つきで。刺身と塩焼きで頂きました。刺身も、もちろん美味しかったけど、驚きは、塩焼きでした。白身が皮を巻き込むように反って膨らみ、プリプリで口の中に旨みと甘味が広がりました。港町の割烹料理店で頂く塩焼きと同じだ!と感動しました。
「魚福」店舗情報
稲沢市一色下方町260-1 JA愛知西 魚市
TEL 0587-36-3326(繋がり難い)
FAX 0587-36-3329
営業時間 9時~17時 水曜定休
冨田 和音
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