筆者の家には富山の置き薬があります。ずっと昔からあり、今でも年に1~2回・・薬の交換に家まで来てくれます。子どもの頃には、紙風船とかを貰った記憶
この「置き薬」って薬なの?
医薬品医療機器等法の第25条第2号、第30条~第33条に規定されていて、簡単に言えば、置き薬の入っている「箱」が薬店の「陳列棚」にあたるということ。
だから、その棚(自宅にある薬店!)から薬を手にとり、使った「後で」お金を支払うという仕組み。
わざわざ薬店に行かなくても、家の中にその「棚」があるなんて・・なんて便利なの!こんな仕組みを江戸時代に考えた人は偉い!
さて今回お邪魔したのはここ!
まるでカフェ。(薬房を茶房と間違えて?入って来る人もあるそう・・)
『和漢薬房』
和漢薬・・ん?漢方薬じゃないのか・・。どこが違うのか?そんな疑問が沸いたのでオーナーの深井和教さんに聞いてみた。
「そもそも、奈良時代に、お寺が人々に薬草を施したことに由来しているのです」(聖徳太子が作った、病気で苦しむ人に薬草を使って救う施設=施薬院が由来という説も)
「遣隋使・遣唐使がもたらした漢方薬に和薬が融合して出来たとも言われる」
店内に「薬食一如」(≒医食同源)という言葉が掲げてあるが、
「薬が人を治すのではなく、人が自ら治すのを補うのが和漢薬なのです」と・・。
「だから、西洋医学のように病気を治す為の薬というより、和漢薬は病気になる前に、もしくはなりかけた時に、口から入れる食≒薬と考えてもらうと良い」
そこにオーナーの娘さん、佐々のりなさんも加わった。
「ちょっと寒いから風邪引かないように、と葛根湯を飲んでおくと、体が温まり下着一枚着るのと同じような効果もあるのです」
「体の根幹は胃腸なので、その根幹の土壌を健全に働けるように助けてあげるのも和漢胃腸薬なのです」
ひとつひとつ、うなずく筆者。
そこに奥様の深井伸江さんが、すっと手作りの杏仁豆腐を出してくださった。これが美味しい!これも胃腸を整える薬食一如。
そして店の中で温熱療法を施されているスタッフの一人でもあるのです。(これやってもらえば良かったなぁ・・と、ちょっと後悔)
昔は、街に薬屋さんがあって、病院に行くほどではない時などは、気軽に相談に乗ってくれていましたが、大手ドラッグストアの台頭のより、それらが街中から消えつつあります。他方、漢方相談薬局類は、とても高いというイメージでもあり、昔の薬屋さんほど気軽に行くこともできません。そんな時、置き薬の訪問先のお客さんから「昔の薬屋さんのような店があれば・・」という要望を受けて、今の店舗を開設されたのです。しかし、なぜか大きな看板も無いし、大々的に宣伝もしていません。
深井さんは「ドラッグストア的に勘違いされて来店されても、お客様に迷惑をかけることになってしまいます。病気を治すというよりも、予防を中心に一緒に身体の事を考えていくことがこの店の役割だと考えているので、そのような方に来ていただけるように努めてまいります」と、とても謙虚に話されます。
ところが、残念なことに和漢薬は少し商品が減ってきているとか。最近ようやくその良さが再認識され、千葉大学医学部の和漢診療科をはじめ、慶応大学、三重大学、北里大学等各地の大学病院が、漢方薬・和漢薬・東洋医学を取り入れ始めたところなのに・・。だからこそ、その貴重な薬を、子どもたちの世代に伝えていくことはとても大事なことだと痛感しました。
代々続く「置き薬屋さん」という事業を継承しながら、新しい時代に向けて始めた「和漢薬房」は、今年で丁度10年。地域に根付いているもののほとんど宣伝もされてこなかったので、今まで知らなかった「なんとなく体調が良くないんだよなぁ・・」と感じていた人に「相談できる場所が見つかった!」となるといいですね。
店舗情報:
〒492-8031 稲沢市陸田高畑町34
営業時間 9:30~17:30 日祝休(土曜不定休)
HP https://www.wakanyakubo.jp/index.html
冨田 和音
最新記事 by 冨田 和音 (全て見る)
- 勝手に駅前再発見! -JR稲沢駅西口 前編- - 2020年3月1日
- 世界1位に輝いたパティシエのいる街・稲沢 -パティスリーアン- - 2019年11月21日
- 生卵の賞味期限が1か月! 信じる?信じない? - 2019年7月14日